対照的な二人の人物

私の身近にとても対照的な二人の人物がいます。

ひとりは、私の上司A、もう一人は取引先の方Bです。

2人とも同い年で、二人は気が合う友達のようです。

この二人のもとで、私とてもは両極端な経験をしています。

まず、上司であるAは、一言でいうと、放任主義者です。

部下である私に、比較的多くの裁量を持たせてくれます。

期限と成果を明示した上で、仕事が始まります。

時には、期限と成果の提示も、私が行います。

たとえば、とあるイベントを実施した際、会場やスタッフの手配、イベントの進行、企業回り……等、やるべきことは多岐にわたりましたが、上司Aはイベント当日に挨拶を行ったのみ。

もちろん、当日までの工程を定期的に確認し、また当日も全体を見渡し、問題がなくイベントが進行するように気を配っていた様子でした。

しかし、ふとここは上司Aの出番かなと目配せをしたときにも、特に助け舟をするでもなく見守ることに徹していました。

それまで何となく上司ありきで物事を進めていた私にとって、いい意味で軽い衝撃を受ける経験でした。

その場の責任者が私であるという自覚をもたらしたとともに、私は今まで決断を上司に委ねていた姿勢を反省しました。

上司Aのスタンスは、「相談は受けるが、期限と成果に向けてどんな形で実行するかは任せる」 というものです。

その意味が理解できた出来事であり、私にとってやりやすい仕事の手法だと実感しました。

そんな上司Aがとある日に語った持論に、ますます惹きつけられてしまいました。

「いざというとき、俺のことを裏切って逃げることができるやつのほうが、俺は信用ができる」 というのです。

どういうことかさっぱりわかりませんでしたが、その心は、いざというとき、上司に遠慮することなく自分の大切な生活や自分自身を守る決断ができる人のほうが、自分の人生に責任感がある。

つまり、そんな人がそばにいてくれている限りは、自分のビジョンや会社に共感してくれていることや、ここが自分の場所だと思ってくれていることがはっきりわかるからだ、というのです。

なるほどなと思わされると同時に、この上司になら、私の人生設計や私が大切にしたいと思っている価値観について、心を開けるなと安心したものです。

一方で、取引先Bは、過干渉です。

取引先の相手であるにもかかわらず、かなり面倒見がよく、面白いと思ったネット記事のURLを送ってくれたり、これからの事業に関わりそうな方を紹介してくれたりします。

そんな親身な面もある中で、何ということもない電話を2時間もかけてくる面や、家庭があるにもかかわらず食事に誘ってきて、いわゆる飲みにケーションを重要視している面もあります。

Bは、すべて「あなたの成長のため」 という名目で、ふつうは指摘しづらいようなことも言ってきます。

たとえば先日、他の人には言わないことだけれど、と前置きの上、指摘されることがありました。

あなたは、他人に興味を持っていないね。

他人に興味を持たないと、せっかく出会った人と業務的な付き合いだけで終わってしまいますよ。

人と深い付き合いをしていきたいのなら、相手に興味を持って世間話等をたくさんすることによってはじめて信用されるのですよ。

信用があって初めて信頼されるのですよ。

あなたと付き合っていて、私に興味を持ってくれていると感じたことがありません。

あなたからご飯に誘われたことも、電話やメールをもらったこともほとんどありません。

そのままの態度だと、仕事もうまくいかないし、あなたの周りから人がいなくなりますよ。

Bの指摘通り、交渉やビジネスを進めるにあたって重要なのは、信頼関係であり、その信頼関係は、日々の何気ないやり取りから生まれるものでしょう。

もちろん伝えたい意図もよくわかります。

しかし、みんなこう考えている、という口調で、Bに対しての態度を反省するように指摘されているようにも感じました。

そして、Bの言い回しが否定的なため、頭には入っても、心に入ってきません。

またこんなことがありました。

以前Bの下で働いていた女性がいて、その女性が結婚を機に急に仕事を辞めなければいけなくなってしまったそうです。

突然の出来事だったので、Bも驚き、落胆したのでしょう。

その際、Bは女性に向かって、こう言ったそうです。

あなたのことを右腕のように思って、これまで育ててきたんですよ。

それなのに、急に辞めるなんて、今まで育ててきた私に失礼ではないですか。

あなたを見込んで、時間と労力をかけた私はもちろんのこと、本来私が家族と過ごすことができた時間を考えると私の家族にも、失礼なことだと認識してください。

この話をBの口からきいたとき、私は決してBの下で働きたくないと思ったものでした。

Bのビジネスとしての能力は、優れたものがあり、彼から学び取りたいものがたくさんあります。

しかし、人の言動を変えよう、管理しようとするBの姿勢をみて、むしろ積極的にこの人とかかわりたくないと思ってしまいました。

他人に興味がないのではないかと思うくらい放任な上司Aと、他人に興味がありすぎて言動を支配したい取引先B。

二人の違いを実感する毎日です。